エステルの合成(果物のにおいを作る)

 

 

目的

アルコールとカルボン酸からエステルを合成し、何の果物の香りと似ているかを考えることを目的とした。

 

実験日

平成18年 9月5日

 

理論

エステルは酸とアルコールとの脱水縮合によって生成する化合物である。

低級有機酸(低級カルボン酸)と低級一価アルコールとのエステルは一般に芳香のある液体で、人工果実エッセンスとして使われ、あるものは天然に植物の精油中に含まれている。

カルボン酸である酢酸、酪酸はともに、それぞれ特有のきついにおいをもっているが、それらのエステルのいくつかは果物の香気成分である。

 

器具

試験管、試験管立て、ビーカー、駒込ピペット、ウォーターバス、ラベル、濾紙

 

試薬

酢酸、酪酸、エタノール、プロピルアルコール(1-プロパノール)、イソアミルアルコール(イソペンチルアルコール)、濃硫酸

 

操作

@        試験管6 本にA、B、Cのラベルを各2 本ずつ貼った。

A        Bの試験管には酢酸、Cには酪酸を 1 mlずつ入れた。

B        Aの試験管にはプロピルアルコール、Bの試験管にはイソアミルアルコール、Cの試験管にはエタノールをそれぞれ 1 ml ずつ入れて、よく振り混ぜた。

C        A、B、Cの試験管にそれぞれ濃硫酸 0.3 ml を加え、よく振り混ぜた。

D        試験管を80 ℃ の水浴に15 分間入れた。

E        試験管を水浴から出して室温まで冷やした。

F        それぞれの試験管に水2 mlを加え、よく振り混ぜた。試験管立てに立て、9 分間静置した。

G        2 層に分かれたのを確認した後、駒込ピペットを用いて上層(エステル層)をもう一つの試験管に移した。

H        エステル層から液を少量取り出し、細かく切った濾紙に1 滴落として湿らせ、香りをかぎ、何の果物の香りと似ているかを考えた。

 

結果

A、   何の果物の香りと似ているかわからなかった。

B、   バナナのような香りがした。

C、   パイナップルのような香りがした。果物ではないが、除光液のような香りがした。

 

考察

A、   酢酸とプロピルアルコールの脱水縮合により酢酸プロピルが生成された。酢酸プロピルは、西洋ナシ様の芳香を有する液体である。何の果物のにおいと似ているかわからなかったのは、西洋ナシのにおい自体がどんなものか思い当たらなかったためだと思われる。

 

B、   酢酸とイソアミルアルコールの脱水縮合により酢酸イソアミルが生成された。酢酸イソアミルは、リンゴ,バナナなどの揮発芳香成分に含まれる。人工果汁エッセンスとして使用される。バナナの香気の調合での成分の中でも飛び抜けて一番多く含まれる成分のためか、すぐにバナナのにおいだと感じることができた。

 

C、   酪酸とエタノールの脱水縮合により酪酸エチルが生成された。酪酸エチルは、パイナップル,イチゴ,しょう油,酒などの揮発芳香成分である。果汁エッセンスに用いられる。また、マニキュアや除光液に含まれている。

 

この実験で、エステルになると原料のカルボン酸やアルコールに比べ、香りがよくなることがわかる。

エステルの合成で最も一般的なのは、この実験に用いたFischerのエステル化であり、カルボン酸とアルコールを酸触媒存在下で加熱するという方法である。つまり濃硫酸は脱水触媒としての役割がある。

反応後水を加えたことにより、未反応の原料,酸とエステルとを分離させることができる。エステルは水に溶けにくいが、酢酸,酪酸,エタノール,プロピルアルコールは水によく溶けるので、水を加える操作で硫酸とともに除くことができる。水に対する溶解度が低いイソアミルアルコールは、エステル層に含まれている可能性もあるが、この反応条件では、エステル層にはほとんど残らない。また、水層よりエステル層が上にくることによりエステルが水より軽いことがわかる。

 

参考文献

楽しい化学実験室U 社団法人日本化学会 株式会社東京化学同人 1995年9月12日

化学大辞典 大木道則、大沢利昭、田中元治、千原秀昭

株式会社東京化学同人 1989年10月20日

 

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