食酢中の酢酸の濃度を調べる

目的

 中和滴定法により食酢中の酢酸の濃度を求めることを目的とした。


実験日

 200899


理論

 この実験は食酢に主に含まれている酢酸に水酸化ナトリウムを用いて中和滴定を行い、酢酸の濃度を決定するものである。そのとき、酢酸と水酸化ナトリウムは以下のように反応する。


     CH3COOH + NaOH CH3COONa + H2O


 今回用いた食酢は酸度が4.2 のものである。また、食酢の比重が1.049 g / ml であることからモル数は以下のように算出できた。

  

     

    

 
以上の計算より、今回用いた食酢の濃度の理論値は以下のようになる。


    


器具

 ホールピペット ( 10 ml ) 1 、ビーカー ( 100 ml 200 ml ) 3 個、薬さじ 1 本、スタンド 1 本、ビュレット ( 50 cm3 ) 1 本、電子天秤、時計皿 ( 直径5 cm ) 1 枚、メスフラスコ ( 50 ml 200 ml ) 1


試薬

 食酢 ( 10 ml ) 、フェノールフタレイン水溶液、水酸化ナトリウム ( 0.4786 g )

シュウ酸 ( 0.2253 g )


操作

 1 ) 原液の調整

   食酢をホールピペット ( 10 ml ) で測りとり、メスフラスコ ( 200 ml ) に移し、メスフラスコに蒸留水でメスアップを行なった。

 2 ) シュウ酸水溶液の調整

  シュウ酸 ( 0.2253 g ) を電子天秤で量り取り、ビーカーにいれ、蒸留水で溶かし、メスフラスコ ( 50 ml ) にいれ、メスアップを行った。

 3 ) 水酸化ナトリウム水溶液の作成

   水酸化ナトリウム ( 0.4786 g ) を時計皿に電子天秤で量り取り、ビーカーに移し、蒸留水を100 ml 加えて溶かした。

 4 ) 水酸化ナトリウム水溶液の濃度決定

   3 ) で作成した水酸化ナトリウムをビュレットに入れ、調整したシュウ酸 ( 10 ml ) をビーカー ( 100 ml ) にいれた。滴定を5 回行なった。

 5 ) 食酢中の濃度決定

   1 ) で作成した酢酸をホールピペット( 10 ml ) でとり、ビーカー ( 100 ml ) にいれ、指示薬としてフェノールフタレインを23滴加えた。3 ) で作成した水酸化ナトリウム水溶液で滴定を 5 回行なった。


結果

 4 ) の結果は以下の表 1 のようになった。

1  操作4 ) の滴下量

回数

滴下量 ( ml )

1

6.75

2

6.76

3

6.69

4

6.70

5

6.80

平均

6.74

標準偏差

0.05


   

以上の結果から水酸化ナトリウムの濃度を算出した。

   まず、シュウ酸の濃度は以下のように計算した。

   

    


   この結果から x を水酸化ナトリウムの濃度と置いて、以下のように計算した。


       

  

     よって、水酸化ナトリウムの濃度は0.15 mol / l であった。

            

2  操作5 ) の滴下量

回数

滴下量 ( ml )

1

2.75

2

2.75

3

2.80

4

2.75

5

2.80

平均

2.77

標準偏差

0.03


水酸化ナトリウムの濃度を用いて食酢中の酢酸の濃度を算出した。食酢中の酢酸の濃度を y とおいて計算をした。



食酢は 20 倍に薄めてあるので原液は以下の濃度となった。



考察

  今回の実験値 0.82 ( mol / l ) は理論値 0.73 ( mol / l ) と比べるとやや誤差があった。

操作4 ) において、標準偏差が 0.05 となっており、値にばらつきがあることから偶然誤差が生じている。秤量においての誤差は非常に小さいとみなされている。このことから主な理由として、メスフラスコを標線まで満たしたときの誤差やビュレットを読むときの誤差、試料溶液をホールピペットでとったときの誤差が挙げられる。

  操作5 ) の結果より、標準誤差が 0.03 となっており、値のばらつきはそれほどないことがわかる。しかし、理論値から滴定の際に必要とする滴下量を計算すると以下のようになり、0.25 ml 差があることがわかった。このことから系統誤差が含まれている可能性が考えられた。

  

  滴定の際に必要とする滴下量を z と置く。

   

 

  系統誤差の主な要因として指示薬誤差が考えられる。フェノールフタレインの変色域はpH7.8 ~ 10.0である。今回の実験で用いた食酢のpH 変化は以下の式を用いて表した。


  

α : 滴定率

KA : 酸解離定数

[H+] : H+ の濃度

KW : 水のイオン積


上記の式にCA = 0.7337Kw = 1.0 × 10-14KA = 1.819 × 10 -5の値を入れた結果、表3,1 の結果が得られた。 このことからpH 変化は7.8 ~ 10.9であることがわかる。変色域と pH 変化とが一致しているため、指示薬誤差ではなかったと判断した。したがって、今回生じた系統誤差は秤量の際に秤量容器の表面への水分の付着などがあったと考えられた。

 また、今回の実験で無水シュウ酸を用いてしまったため、吸湿してしまったことが考えられた。無水シュウ酸は二水和物となってしまうため、標準指示薬には向かず、シュウ酸・二水和物を用いるべきであった。

3 食酢 ( 0.73 mol / l ) に水酸化ナトリウム ( 0.1 mol / l ) を滴下した際のpH変化

pH

α

pH

α

pH

α

7.0

0.9945

8.7

0.9999

10.4

1.0003

7.1

0.9957

8.8

0.9999

10.5

1.0004

7.2

0.9965

8.9

0.9999

10.6

1.0005

7.3

0.9973

9.0

1.0000

10.7

1.0007

7.4

0.9978

9.1

1.0000

10.8

1.0009

7.5

0.9983

9.2

1.0000

10.9

1.0011

7.6

0.9986

9.3

1.0000

11.0

1.0014

7.7

0.9989

9.4

1.0000

11.1

1.0017

7.8

0.9991

9.5

1.0000

11.2

1.0022

7.9

0.9993

9.6

1.0000

11.3

1.0027

8.0

0.9995

9.7

1.0001

11.4

1.0034

8.1

0.9996

9.8

1.0001

11.5

1.0043

8.2

0.9997

9.9

1.0001

11.6

1.0054

8.3

0.9997

10.0

1.0001

11.7

1.0068

8.4

0.9998

10.1

1.0002

11.8

1.009

8.5

0.9998

10.2

1.0002

11.9

1.011

8.6

0.9999

10.3

1.0003

12.0

1.014


1 食酢 ( 0.73 mol / l ) に水酸化ナトリウム ( 0.1 mol / l ) を滴下した際のpH変化


参考文献

 定量分析−基礎と応用 船橋重信編 朝倉書店 (2004)  P 16 ~ P 22

  分析化学の基礎 佐竹正忠・御堂義之・永廣徹著 共立出版  (2006)  P 156 ~ P 161

  データのとり方とまとめ方 第2版 −分析化学のための統計学とケモメトリックス

                               宗森信・佐藤寿邦訳者 共立出版 (2004)  P 2 ~ P 17